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吉野杉について

  • mta-si
  • 2023年10月12日
  • 読了時間: 4分

更新日:2023年10月13日


1)出会い

 木のことを学び始めて間もない2019年11月、MOKスク-ル大阪が企画した吉野杉の産地を訪ねるフィールドツアーに参加しました。実際に300年生の吉野杉の森に入り、大木の迫力を感じると共に、300年前から連綿と林を育て上げてきた人々の意思を感じました。また、一人で数ヘクタールの山を管理しているという山守の方と山に入り、間伐の仕事をプチ体験し、山の仕事の話を聞き、林を育て上げていく人の気概を感じることになりました。

 訪れた製材所で無垢の製材に触れてみると、11月の冷たい空気にさらされているはずの木材が冷たくは感じませんでした。「暖かい」と思わず口にしたら、「それはオーバー。冷たくないけどね。と製材所の方に諭されました。

※MOKスクール大阪:安全で環境に優しく、上質な木の住まいを「具体的に造る」講義を基本に、阪神淡路大震災の翌年1996年から開講したスクールです。


      フィールドツアーで入った吉野チゴロ淵の300年生の杉林



 その数週間後、住宅医スクールの講義「マンションリフォーム」で、この改修工事の床材として使うことになる杉フローリングを知ることになります。すでに、自分のマンションを改修することは決めていましたので、その講義で紹介された杉フローリングは、材料運搬を考慮しEVに乗せられる長さにしてあり、工事騒音に配慮して実(さね)を丸く加工して製品化されているなど魅力的な床材と思えました。

 その後、いくつかのマンションリノベーションの完成住宅を見学させてもらい、実物の吉野杉のフローリンングを見、触れて体感することができました。木目に表れる節も含めて天然素材の味わいと思えましたし、足に触れる柔らかく温もりのある感触が心地よく感じました。 

 この杉フローリングを作っている丸岡材木店を吉野まで訪問し、見学させてもらったのは、2020年9月30日。1枚1枚、実の加工しているところを見、死節を取り去り、埋木処理されていることを説明していただきました。

 そして、このフローリングが工事中の我マンションに搬入されるのは、2022年4月30になります。 

 ※住宅医スクール:優良な住宅ストックづくりへ貢献することを目的に、2006年に開講した、既存住宅の調査・   診断・改修設計・施工・維持管理等の基礎から実践までを学ぶスクールです。


    改修現場に搬入された吉野杉フローリング(215✕1800 厚30)



2)学んだこと

 日本の林業

 日本列島の衛生写真を見ると、平野がほとんどない森林だらけの島国だなと思います。国土のおよそ70%が森林ということであり、戦後に植えられた杉・檜が十分育ち伐採期を迎えています。ところが、海外から木を買っているという現実があるのは、日本の木材価格が海外材に比べ高くなってしまうからです。理由はいろいろあるようですが、ひとつには、山が急峻で作業効率が悪く(林道が造れないのでヘリコプターで集材するしかない場合もある)コストが高くなってしまうことがあります。

 とはいえ、全国に杉・檜などの林産地は(放置林などの問題を抱えながらも)連綿と存在し、木材を生産しています。見方を変えれば、日本のどの地域でもすぐ近くに林産地があるということであり、輸送における脱炭素にかなった木材入手ができるといえます。せっかく育っている木材という再生可能な資源を有効に活用することは、低炭素化の求められる今の時代に取り組むべき価値のあることだと思います。

       日本列島の衛星写真


 

杉材の性質 

 杉材の外見は前出の写真の通りで、生涯で最も多く目にしてきたように思います。板目に特徴がよく現れ、節も見慣れれば天然材の魅力と感じられます。杉材の性質は、針葉樹の中でも柔らかい性質ですので衝撃により傷つきやすいですが、反面、物を落としたときの緩衝性があるともいえます。何より、足で踏んだ時のかすかに柔らかい感触は心地よいものです。

 また、杉を含め無垢材には、調湿性があります。睡眠時の実験データによると、壁天井がビニールクロスの部屋に比べ、無垢材の場合は、およそ10%ほど湿度が抑えられるようです。特に夏場のジメジメした夜に効果が期待できそうです。また、素足で杉フローリングの上を歩いたときのサラサラ感は、この性質によると思われます。


 2023年10月、完成から1年経ちましたが、吉野杉をの性質を味わいながら生活しています。


 
 
 

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